検査結果の読み方

ブライダルチェックの結果を、自分で読む

検査を受けても、数字の意味までは説明されないことがあります。ここでは各項目について「何を目標にするか」「その値が意味すること」「注意点」を、生殖医療専門医が整理しました。

卵巣予備能

AMH(抗ミュラー管ホルモン)目標値: 20〜30代前半で3〜5 ng/mL

意味すること残っている卵子の数の指標。1.0未満は低め、1.0〜2.0はやや低めとして扱われます。

注意点卵子の「質」は分かりません。数が少なくても質は年齢相応です。低用量ピル内服中は正確に測れません(3ヶ月中断してから測定)。

AMHが高い場合目標値: 20代4.0 / 30代2.8 ng/mL以上

意味すること多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性を評価する目安(日産婦2024基準)。

注意点AMHが高いだけでは診断できません。月経異常・エコー所見・ホルモン値の全てを満たす必要があります。40歳以上では高値判定を行いません。

基礎ホルモン(月経中に測る)

FSH / LH / E2目標値: FSH 10 mIU/mL未満・FSH>LH・E2 30〜50 pg/mL

意味することFSHが高いと卵子の残り数が少ない可能性。LHがFSHより高い場合、月経不順があれば排卵が不定期になっている可能性。

注意点月経中でも前周期の卵胞が残っている(遺残卵胞)とE2が高く出ます。その場合は再検査を。

プロラクチン(PRL)目標値: 30 ng/mL未満

意味すること高いと月経不順・不妊・流産の原因になります。内服薬で正常化できます。

注意点日内変動が大きく、30を少し超える程度なら再検査。50〜100 ng/mLと高値なら頭部MRIが必要なことがあります。

甲状腺(TSH)目標値: 2.5 μIU/mL未満

意味すること正常範囲にコントロールすることで、流産・早産のリスクを下げられます。

注意点上昇していれば追加採血のうえチラーヂンで調整。極端な高値・低値は甲状腺専門施設へ。

感染症

クラミジア目標値: PCR陰性・IgG/IgA陰性

意味することIgG陽性=過去に感染、IgA陽性=現在感染。治療歴がなければ現在も感染している可能性があり抗生剤で治療します。

注意点PCRが陰性でも、卵管やお腹の中に広がっている可能性は否定できません。パートナーの同時治療で再感染を防ぎます。

風疹HI抗体目標値: 32倍以上

意味すること32倍未満ならワクチン接種が推奨されます。

注意点生ワクチンのため接種後2ヶ月の避妊が必要。パートナーの抗体も確認を(男性は接種後の避妊期間は不要)。

梅毒・B型/C型肝炎・HIV目標値: 陰性

意味すること母子感染と性行為による感染を確認します。

注意点陽性の場合は専門の施設で精査が必要です。

その他

25-OH ビタミンD目標値: 30 μg/dL以上

意味すること欠乏と診断された場合は1日25〜50μg(1000〜2000単位)を補います。周期の安定や着床環境への好影響が報告されている栄養素です。

注意点脂溶性で体内に蓄積するため過剰摂取に注意。補充開始から1〜2ヶ月で再検査を。

抗精子不動化抗体目標値: 陰性

意味すること陽性だと精子の動きを止めてしまい、自然妊娠の可能性が極めて低くなります。

注意点ほとんどの人は陰性です。程度によっては体外受精が必要になります。

子宮頸がん検査(細胞診)目標値: NILM(正常)

意味することASC-US/LSIL等は異形成の疑い、HSIL/SCC等はがんの疑い。正常以外は専門施設で精査します。

注意点正常な細胞からがんになるまで5〜10年。1〜2年ごとの検診でがんになる前に見つかります。

経腟超音波目標値: 所見なし

意味すること卵巣と子宮の状態、進行した子宮内膜症や子宮筋腫の有無を確認します。

注意点初期の子宮内膜症はエコーに写りません。月経痛が強ければ、画像が正常でも治療の対象になります。

卵管造影(通水)検査目標値: 両側開通

意味すること精子と卵子が出会う場である卵管の通り具合を確認します。

注意点通っていても卵管の機能までは分かりません。子宮内膜症の有無も分かりません。

精液検査目標値: WHO 2021基準値以上

意味すること量・濃度・運動率・形態を確認します。男性因子は不妊原因の最大半数に関与します。

注意点1回の検体では判断しません。基準値は「妊娠させた男性の下位5%タイル」であって合否ラインではありません。